小児泌尿器科について
泌尿器とは、腎臓、尿管、尿道、膀胱などの器官です。泌尿器科診療には、男の子の睾丸や陰茎、女の子の膣や子宮などの生殖器も含まれます。腎臓は尿を作り、尿道は尿を体外に排出する役目を担う器官です。お子様の場合、成人とは異なる泌尿器疾患に悩まされることも珍しくありません。
当院では、泌尿器の異常による病気だけでなく、夜尿、頻尿、性器の痒みや痛みなどの治療にも対応します。お子様の泌尿器系の異変に気づいたら、ぜひご相談ください。
当院で対応する主な症状
子どもの症状
- 排尿困難
- 排尿時の痛み
- 尿のにおいや色、排尿回数に異常がある。
- 小学生以降も、おねしょが続く
- 頻尿
- 陰部の痛み、痒み
男の子の症状
- 陰茎の先端の赤みや腫れ
- 睾丸の大きさや、形の異常
- 包茎
- 睾丸が見えない
など
男女ともに起こる小児泌尿器科疾患
尿路感染症
尿路感染症は、細菌が尿道口から膀胱に入ることで起こります。そのため、尿道が短い女の子は男の子よりも尿路感染症になりやすい傾向があります。ただし、2歳までは男女で感染頻度に大きな差はありません。膀胱にとどまる感染は膀胱炎と呼ばれ、膀胱から腎臓に細菌が入ると腎盂腎炎を引き起こします。
赤ちゃんの場合、尿路感染症は発熱(38.5℃以上)や機嫌の悪さなどの全身症状のみとなることが多いです。幼児の場合、腹部や背中の痛み、排尿時の痛み、普段はおもらししないのにパンツを濡らすなどの症状が見られることがあります。尿の臭いがいつもより強かったり、血が混じったりすることもあります。小学生以降では、頻尿や排尿時の強い痛みなどの排尿に伴う症状が中心となり、血尿が見られることもあります。ただし、どの年齢でも高熱を伴う場合は、膀胱炎だけでなく腎盂腎炎(じんうじんえん)を疑う必要があります。
夜尿症(おねしょ)
5歳を過ぎても夜尿(おねしょ)が改善しない状態です。膀胱容量が少ない「膀胱型」、夜間に尿が多く出る「多尿型」、両方の要因が重なる「混合型」の3つのタイプがあります。
夜尿症は他の病気のサインとして現れている場合もあります。また、放置しておくと宿泊を伴う行事などに深刻なお悩みをもたらすことがあります。
しかし、夜尿症の多くはお子様の成長とともに改善します。10歳前後のお子様では夜尿症の割合は5~7%に減少します。
治療は水分補給方法や食事の見直し、薬物療法、アラーム療法などです。ご家庭での適切なケアにより治療効果が高まります。お子様の夜尿でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
男の子だけに起こる病気
包茎
陰茎の先端は包皮で覆われており、亀頭が露出できません。乳幼児期の包茎は「生理的包茎」と呼ばれ、この年齢のお子様はすべて包茎です。通常、包皮は成長とともに後退します。ほとんどの場合、17歳頃に包皮が後退しますが、お子様が成人になっても包皮が後退しない場合もあります。この場合は「真性包茎」と呼ばれ、治療が必要になります。
通常包茎であっても、包皮を下げると亀頭が露出する場合があります。この状態は「仮性包茎」と呼ばれ、治療は不要です。
乳幼児期の包茎でも、排尿困難、頻繁な炎症、包皮が根元から後退しない「嵌頓包茎」がある場合は治療が必要です。
排尿困難がある
包皮の中に尿が溜まると排尿困難に繋がります。排尿がスムーズに行われないと腎臓や膀胱に悪影響を与えることもあるので、放置することは避けましょう。
尿が出る位置や角度に異常を感じたら、迷わず受診してください。
亀頭包皮炎
包茎を放置しておくと、包皮と亀頭の間に汚れがたまりやすくなります。これにより細菌が増殖して包皮や亀頭に感染し、炎症をもたらします。炎症により腫れや痛み、黄色い膿などの症状や、膿で下着を汚すなどのトラブルを引き起こします。
包茎が正常な状態である乳幼児期は、亀頭包皮炎になりやすい時期です。しかし、成長して免疫力が向上し、包皮が後退し始めると、亀頭包皮炎になりにくくなります。
亀頭包皮炎は、早期に適切な治療を受ければ早く治ります。上記のような症状がある場合は、できるだけ早く医師の診察を受けてください。
また、再発しやすいので、性器を清潔に保ち、汚れた手で触らないことも重要です。
嵌頓包茎を起こした
包皮をめくったときに包皮輪が狭すぎると、亀頭を締め付けてしまいます。この状態を「嵌頓包茎」といいます。すぐに戻らない場合は無理にめくろうとせず、お気軽に当院を受診してください。