糖尿病

糖尿病とは

糖尿病とは糖尿病は、血液中の糖分(ブドウ糖)の量が過剰な状態を言います。この病気は、ブドウ糖が細胞にうまく取り込まれず、血液に溜まってしまうために起こります。この高血糖の状態が続くと、血管に負担をかけ、動脈硬化を進行させる場合があります。動脈硬化が進行すると、心臓病や脳卒中など全身に様々な重篤な合併症を引き起こすリスクが高まります。
日本国内での糖尿病患者数は増加の一途を辿っており、大きな問題となっています。糖尿病の合併症を防ぎ、健康で質の高い生活を長く送り続けるためには、血糖値の適切な管理が不可欠です。血糖値を正常範囲に保つことは、日常生活の質を向上させるだけでなく、長期的な健康維持にも直結します。
糖尿病の治療には、食事療法や運動療法、薬物療法が重要です。

初診の方へ

糖尿病治療中の方

ご来院の際には、現在服用中の薬やお薬手帳をお持ちください。
また、過去の検査結果があればお持ちください。

糖尿病治療を開始される方へ

治療前日の午後9時以降は飲食を控え、翌朝ご来院ください。
※お茶やミネラルウォーターはお飲みいただいて問題ありません。
ご来院の際は現在服用中の薬やお薬手帳をお持ちください。

こんな症状はありませんか?

  • 急に体重が増え始めた
  • 急に体重が減り始めた
  • 喉が渇く
  • 体がむくむ
  • 視力の低下
  • 健康診断などで「血糖値の異常」と指摘を受けた
  • 無性に甘いものを欲する
  • 残尿感
  • 下腹部の痒み
  • 頻尿
  • 尿の量が多い
  • 手足の痺れ

など

糖尿病の原因

糖尿病の種類によって、原因は異なります。
1型糖尿病は、膵臓のβ細胞が何らかの理由で破壊されることで発症しますが、はっきりとした原因は不明です。
一方、2型糖尿病は、遺伝的素因と生活習慣(食べ過ぎや運動不足)、肥満、ストレスなどの環境要因が組み合わさって発症すると考えられています。
その他の糖尿病の原因としては、遺伝子異常、その他の病気、およびその治療薬の服用によって糖尿病が発症する例や、妊娠中の糖代謝異常などが挙げられます。

糖尿病の種類

糖尿病の分類としては、1型と2型の2種類があります。

1型糖尿病

糖尿病は、インスリンを作る膵臓のβ細胞が破壊され、インスリンの分泌が減少することで発症します。インスリンは血糖値を下げるホルモンですので、インスリンの分泌が減少すると、血糖値が異常に上昇します。その結果、命の危険にも繋がる可能性があるため、厳格な血糖コントロールが必要です。
1型糖尿病の主な治療はインスリン補充です。適切なインスリン補充で血糖値をコントロールできれば、発症前と同じような生活を送ることが可能になります。場合によっては膵臓移植も考慮されます。

2型糖尿病

2型糖尿病は日本の糖尿病患者数の約95%を占め、食べ過ぎや運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣に加え、加齢や遺伝的素因も関係していると考えられています。また、食後高血糖とも呼ばれる「かくれ糖尿病」は健康診断で見逃されがちであり、病気が進行して初めて発見されることが多いため要注意です。膵臓から分泌されるインスリンが不足すると、ブドウ糖が体内にうまく吸収されず、血液中にブドウ糖が溢れてしまいます。
2型糖尿病の治療には、食事療法や運動療法が行われ、それでも改善がみられない場合には内服薬やインスリン投与などの薬物療法が行われます。血糖コントロールを適切に行えば、病気の進行や合併症を防ぐことができます。血糖値だけでなく、適切な体重、血中脂質、血圧を維持することも大切です。

その他病気・薬剤による糖尿病

糖尿病は、生活習慣によって発症するだけでなく、遺伝子の異常や他の病気、そのために服用した薬によっても引き起こされることがあります。

妊娠糖尿病

妊娠前の血糖値が正常であっても、妊娠中、糖代謝に何らかの異常が起こると、糖尿病を発症することがあります。妊娠中の糖尿病は胎児に影響を及ぼす可能性がありますので、適切な指導が必要です。当院には糖尿病専門医である女性医師がおりますので、女性も安心してご相談いただけます。肥満や高齢出産、ご家族に2型糖尿病の人がいる方など糖尿病の発症リスクがある方はお気軽にご相談ください。

糖尿病の合併症

高血糖が続くと、血管内の細胞(内皮細胞)に高血糖、つまり余分なブドウ糖が入り込み、そこで産生された活性酵素が血管を傷つけます。糖尿病は全身の動脈や毛細血管に影響を及ぼし、多くの合併症をもたらします。糖尿病の三大合併症は、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害です。

糖尿病網膜症

網膜は毛細血管の多い組織なので、高血糖によって多くの血管が損傷を受けます。動脈硬化により血流が阻害され、酸素や栄養が不足して網膜剥離や出血を引き起こすこともあります。場合によっては失明に繋がることもあり、日本では主要な失明原因の1つとなっています。そのため糖尿病と診断された方には、糖尿病治療と並行して定期的に眼科への受診もお勧めしています。

糖尿病性腎症

腎臓の糸球体の毛細血管が損傷し、尿の生成が止まって老廃物が排泄できなくなります。これを腎不全と言い、人工透析が必要になることもあります。なお、人工透析が必要となる主な原因として、糖尿病性腎症が知られています。

糖尿病性神経障害

症状としては、手足が痺れたり、痛みに鈍感になったりすることなどが挙げられます。
その他、便秘、下痢、立ちくらみ、異常発汗、顔面神経麻痺、勃起不全(ED)などがあります。

かくれ糖尿病

かくれ糖尿病「かくれ糖尿病」とは、食後に血糖値が高くなることを言います。健康診断では空腹時血糖値のみを検査し、食後血糖値は検査しないことが多いため、見逃されやすいことから「かくれ糖尿病」と呼ばれています。
「かくれ糖尿病」は文字通り見逃されやすく、病気が進行してから発見されることがほとんどです。空腹時血糖値は正常であっても食後血糖値が高い場合もあり、一般的な糖尿病と同様に動脈硬化や心筋梗塞に進行するリスクが高いことがわかっています。そのため、一般的な糖尿病と同様、適切な治療を受けることが必要です。

かくれ糖尿病を早期発見するために

「かくれ糖尿病」は、進行すると空腹時でも血糖値が上昇し、高血糖状態が続きます。
そのため、通常の健康診断では発見が難しいと言われています。
早期に発見するためには、空腹時血糖値が100mg/dL以上、またはHbA1c(国際基準値)が5.6以上の場合は食後血糖値を検査することをお勧めします。
かくれ糖尿病は、発見された段階ではかなり進行している場合が多く、そうなると治療が困難になる場合もあります。少しでもご心配なことがあれば、重篤な合併症を防ぐためにも、お気軽に当院にご相談ください。

糖尿病の治療・予防

糖尿病と診断された場合、または糖尿病を予防するためには、健康的な生活習慣を身につけることが重要です。また、血糖値を適切な範囲に保つために、以下の点に特に注意する必要があります。

食事療法

糖尿病は過剰な糖(ブドウ糖)が原因となる病気ですので、体内に摂取する糖の量を適切に管理することが大切です。また、単に食事の量を減らすのではなく、適量をバランスよく食べることが大切です。

運動療法

運動をすると糖がエネルギーとして消費されます。そのため、適度な運動を継続的に行うことが大切です。また、適度な運動を継続的に行うことで、筋力がついて糖が体内に適切に取り込まれやすくなり、脂肪が燃焼されやすくなるため、糖尿病だけでなく、他の生活習慣病にも効果的です。

薬物療法

糖尿病の治療薬は、経口薬と注射薬など多岐にわたります。いずれもインスリンの分泌を促進し、接種した糖の分解・吸収を遅らせ、糖の排泄を促すのが基本的な効果とされています。特に自己注射は慣れるまで難しいかもしれませんが、当院の医師がわかりやすくご指導しますので、安心して治療を受けていただけます。ご不明点などあれば、お気軽に当院にご相談ください。